るりかけすの空は

10月の憂鬱、そして新曲『手押し車』

突然ですが、私は10月が苦手です。
なぜだか分かるような分からないような。

ひとつは何よりも苦手な冬が迫って来る秋が苦手なのです。
冬が来る前にひとあがきするのでしょう。何て往生際が悪い(苦笑)。

もうひとつは誕生日(10月生まれ)を迎える秋が苦手。
いつからか、誕生日が近づくにつれ、心身共に不調をきたすようになりました。
こちらも、歳を取る前にひとあがきするのでしょう。信じられない往生際の悪さ(ため息)。

今年もその不調っぷりはやはりやって来ましたが、素敵なプレゼントをもらいました。
それは『手押し車』という詩です。
そう、それは先日書いた南イングランドはミナックシアターの創設者、Rowenaが手押し車に座って、作業の合間に本を読むポートレイトからインスピレーションを得て書かれた詩でした。

彼女は50年という歳月をかけて、毎日のようにこの手押し車で石を運び続けたのでしょう。
それは誰が命じたわけでも、頼まれたわけでもないのです。彼女の情熱のために途方もない作業がなされたのです。

歌うこと、描くこと、書くこと、演じること、何かを創り出す全てのこと。

表現活動や創作活動をする多くの人が、命じられたわけでも、頼まれたわけでも、ましてや仕事でもなく、寝食を削ってでも日々表現をし続けているのではないでしょうか。
しかもそれは決して楽なことではありません。時に投げ出したいと、降りたいと思うことも往々にしてあるはずです。
それでも、その役目はその人にしか成し得ません。誰にも代わることができないのです。
役目という点において、それはすべての人に当てはまることではないでしょうか。
人にはどんな些細なことでも、かけがえのない役割があります。

そんなことを、この詩は改めて思い出させてくれました。

歌を創って歌う者として、母として、書店員として。
自分で運び始めた石です、明日もひとつずつ石を運びたいと想います。

何度も読み返すうちにいつの間にか口ずさんでいた旋律。
この『手押し車』には音楽がついていました。
それが、今回の新曲。
11月27日、皆さんにお披露目です。

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『手押し車』

詩:佐藤泰人
曲:るりかけす

一日の仕事が終わり
空になった手押し車に座り
本を読む

だけど字面を追って
ぼうっとしてきた頭には
載せた荷のことなどが思い出されるのだ
切り出した
大きな石二つ
バランスをとりながら
ひょいひょい運んでいく
一つずつ下ろして
急いで戻り
こんどは三つ
歩みはゆらゆらと遅い

そんなことを日がな一日やっていたのだった
いまは石の代わりに
あたしがどっかと腰を下ろす

だれかこのまま
あたしを運んでいってくれないかしら
軽々と
眼下の海辺へと


でもこれはあたしの車
切りのいいところまで読んだら
納屋に片付けて
明日また石を運ぶのだ

主人公のあの女
あの不可解な行動
明日の終わりには謎が解けるかしら
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by sorapis | 2008-10-30 02:14 | Travel:るりかけすの旅

シンガーソングライターるりかけすの山と本とサブカルな日々の話。
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