るりかけすの空は

子宮の響き

 自分のやっている音楽は一体何なのだろう…、と比べるものではないと分かりつつ、身体をすくめてしまいたくなるようなライブを観た。
 バンドをやっている頃からリズム隊(ドラムなどの打楽器やベースなども)が大好きだった私。ふり返れば、小学生3年生にしてマイスティックを持ち(しかも練習のしすぎで何本折ったことか…)、鼓笛隊で小太鼓を叩いていた。
「るりかけす」になってから、こういったリズム隊にご無沙汰だが、時々無性に求めてしまう。そんな時は、オシャレ系のパーカッション曲などではとても物足りない。和太鼓系がいいのだ。有名どころでは、佐渡の「鼓童」などを観に行った。
 そして今日観に行ったのは、伝統芸能 和太鼓集団「天邪鬼」。恥ずかしながら今日まで知らなかった。ある方を介して紹介していただき、チケットを手に入れた。
 開演から2時間、思考という思考が消えていた。本当に何も考えていなかった。むしろ、考えているヒマもなかったという方が正しいかもしれない。
 次から次へと押し寄せる音の波。骨のすみずみまで音が共鳴し、身体中が振動する。突き上げるようなビートは、自分のお腹の中から響いているのではないかと何度も錯覚した。言葉を失うようなグルーブに鳥肌が立つ。気付くと、涙が頬をつたっていた。
 目に映るのは、身体ひとつで太鼓に向き合い、ただひたすらに太鼓を打ち続ける18人の男女。機械が叩く音ではないから、各人の音はそれぞれに違う。それでも、いや、それだからこそ、魂を打ち込むかのような人々の姿が眩しいほどに美しかった。
 「子宮の響き」。そんな言葉が浮かんだ。子宮がどんな音を奏でるのかなんて想像もつかない。でも、不思議なことにそれ以外の言葉が思い浮かばなかった。
 人間が誕生し、言葉が生まれる以前から、リズムは生活の中に存在していたのだと思う。初めて聴くはずの響きを、私の身体は既に「知っていた」から。私だけではない。この太鼓の響きを聴く人は、皆何かを憶い出すからこそ興奮するのだろう。
 メロディーも歌もなしで、「音」はこれほどまでに人を感動させることができる。私はたくさんの「飾り」をつけて、どれだけの感動を紡げているのだろうか。 天邪鬼保存会の会長さんがおっしゃっていた。「皆様の心に何かを感じていただければ最高です」と。私も、聴いていただくお客さんに少しでも「何か」を感じていただけるように歌わなければならないと思う。
 どこの国においても、「トラディショナル」(伝統音楽)は魅力的だ。忘れてはいけないものが込められている。日本のトラディショナルも胸を張って世界に誇ることができる。
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by sorapis | 2007-01-14 23:00

シンガーソングライターるりかけすの山と本とサブカルな日々の話。
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