るりかけすの空は

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初恋


春ですね。
今日はものすごく寒かったですが。

でも、確実に春は来ていた。
桜の開花の話ではない。

そう、息子が恋をしたらしい。
若干2歳。

初恋の相手は・・・

保育園のさおり先生!!

先生が「帰るね」と言えば「やだ〜」とごね、
他の先生が「先生帰ってもいい?」と聞くと、「いいよ、バイバ〜イ」と言うらしい。
「さおり先生にデレデレ」と母が言われる始末。
確かに家でも「しゃおりせんせ、しゅき〜っ053.gif」とのたまう。

何か言うことを聞かないと、
「あ、さおり先生に言っちゃおう〜」と脅せばイチコロである。

私の初恋は4歳。
くっ、負けた。。

そんなさおり先生とも今月でお別れなのである。

春なのに。
あぁ、春だなぁ。

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ピアニカにいそしむ。さおり先生に聴かせるため・・・かもしれない。

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真剣勝負なのである。
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by sorapis | 2010-03-26 01:51 | Murmur:つぶやき

photo report @ZINC

先日のライブ写真です。
ライブの雰囲気が少しでも伝われば幸いです。


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リハ前に。窓の外は浅草寺。なぜか写真を撮りまくっていた私。

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朗読のおふたり。左からユンさん、右が佐藤さん。
ユンさんは声だけでなく、すべてが美しいです。憧れの女性。

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Kengo氏。どの写真もプロなんシンガーだよなぁ。。真似できません(笑)。
photo by red mugさん

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一応るりかけすも。目を開けていると恐ろしいので(爆)目つむりさんで。
おぉっ、分かりました!!マイクの持ち方が違うらしい。。むぎゅぎゅ過ぎ。
photo by red mugさん

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本日のベストショット。waitsの皆さんと最後の『Craig's Pipes』のコラボレーションです。
ピアノ叩き過ぎて、翌日筋肉痛になりました(笑)。楽しかったなぁ(涙)。
photo by red mugさん

いつも素敵な写真を撮って下さるred mugさん。
本当にありがとうございました016.gif
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by sorapis | 2010-03-25 01:23 | Report:ライブレポ

10.3.20 Live report @ZINC

本日、St.Patrick's Day アイリッシュ・ライブ終了です。

会場はほぼ満席!!
本当に沢山のお客様のご来場、ありがとうございました!!
そして、Kengo君、朗読をして下さったユンさんに佐藤さんにwaitsの皆さん、
本当に素晴らしい時間をありがとうございました。

昨年は何度もくじけそうになりましたが、やめないで良かったです。
最後のCraig's Pipeのラストでガンガンにピアノを弾きながら、皆さんの笑顔と自分のはじけっぷりに心底そう思いました。
そういった意味で、今日のライブは特別な意味を持つライブになりました。

「アイルランド」という、自分が生まれ育ったわけでもない遠い国を共通項に、どれだけ多くの人と出会うことができたのかと思うと、私もSt.Patrickの恩恵を受けているのだと感謝せずにいられません。
すごいですな、パディーさん(笑)。
もちろんPaddyさんの力だけでなく、今日のるりかけすがあるのは、支えて下さる沢山の人たちのおかげに他なりません。

わざわざライブを聴きに足を運んで下さるということが、時にどれほど大変なことかわかるがゆえに、毎回、何てお礼を言ったらいいのかわかりません。
ライブには来られなくても、歌い続けることを励ましてくれる友人たちにも感謝。
音楽仲間はもちろん、縁あって繋がってくれた友人たち、お母さん友達までもが叱咤激励してくれるというこの環境に感謝です。
1週間高熱に苦しんだ然の風邪?がピタリと昨日治ってくれたことにも感謝。
歳を重ねるごとに、感謝の気持ちが降りつもっていくというのは、本当に素敵だと思います。


それにしても、今回は話し上手な仲間達に囲まれて、
MCはいつになく素晴らしいまとまり具合でした029.gif

わかったのです、「話し上手」は「まとめ上手」だということに。
そういえば、私は「要約(まとめ)」が恐ろしく苦手です。
話は長い、ブログも長い、そういえばメールも長い(・・・が、途中で挫折する)。

なんて、ライブレポートなのに脱線している時点で問題。
それ以前に、これでは「ライブレポート」じゃなくて「感想」ですよね。。

さて、ここからが「本当の」ライブレポート。
本日のテーマ : 出会い、そして旅立ち

1. Home/故郷
朗読:ユン・ヘヨン
:思わずユンさんの声に引き込まれました。
タネを明かすと、「The Holy Ground」というトラディショナルを歌うつもりで、選んでもらった詩。
が、わけあって変更。
でも、オープニングを飾るに相応しい作品でした。

2.空の鏡
 Pf, Vo:るりかけす
:るりかけす超初期の曲ですが、初めてアイルランドを訪れた際に出来た曲。
アイルランドとの「出会い」という意味を込めて、選曲しました。

3.聖パトリックの話
 朗読:佐藤泰人
:「30秒で分かるSt.Patrick」とのことでしたが、1分半かな(笑)。
 
4.Katie
 Vo:Kengo/Pf, Vo:るりかけす
:99年に初めてMary Blackを恵比寿のガーデンホールで聴いた時のこと。
この曲が始まると、アイリッシュの人々が立ち上がり、肩を組んで歌う姿を見てどれほど感動したことか。
どんなに離れていても、歌で繋がることができるんだと思い知った経験でした。
      
5.The World Is Getting Smaller/世界はだんだん狭くなる
朗読:ユン・ヘヨン
:国を越えて旅立って行っても、今やメールや電話やwebなど、様々な手段ですぐ近くに感じることができる時代になりました。
そんな断片を素敵に詩として切り取っています。

6.omamori
 Pf:Kengo/Vo:るりかけす

でもその手が
僕の右手だって
気付いたんだ
てのひらとズボンの砂はらった

「背中を押してくれる手」は他の誰の手でもなく、
自分自身の手にほかならないのです。   

7.The Lark in the Clear Air/澄んだ空に雲雀
朗読:ユン・ヘヨン
:何て素敵な詩なのかしら、とため息でした。
ユンさんの声にもうっとりして、危うく自分がどこにいるのか分からなくなりそうな時間でした。

8. The Lark in the Clear Air
 Vo:Kengo/Pf:るりかけす
:多くの人がカバーをしている曲ですが、私はCarla Dilonの歌うverで知りました。
しかも敬愛するアイリス・マードックが生涯口ずさんでいた曲と知り、
さらに特別な曲になり、いつかライブで演奏したいと思っていました。
今日は、ユンさんの素敵な朗読とKengo君の歌で最高のコラボレーションが実現しました。
こういう伴奏をしている時は、最高に幸せな時間です。

9. Valediction/別れ
作・朗読:佐藤泰人
:男性側の視点から描かれる「別れ」の一コマ。
短いセンテンスの中にドラマが凝縮されていて、大好きです。

そして、こうくればKengo君の「Time」登場!!

10.Time
Pf, Vo:Kengo/Cho:るりかけす

11.青い場所
Pf, Cho:Kengo/Vo:るりかけす
:とらわれていたものを捨て、新たに歩き出す覚悟を歌った曲。
まさに今日のテーマに近いです。

12. Dresden/ドレスデン
朗読:佐藤泰人
:超長編の朗読に挑戦。まぁ、キアラン・カーソン(この作者)と聞いた時点で、とりとめなくなるんじゃないかという覚悟はしましたが(苦笑)。
※るりかけすのブックレビュー参照
   →『読書で旅へ』

やっぱり長かった(笑)。
それがアイリッシュぽくてまた良かったりもするんですね(きっと)。

13. Over the Rainbow
 Pf, Vo:Kengo/Cho:るりかけす
:何とこれは超有名な『Over the Rainbow』の詞に、Kengo君が新たな曲をつけたという粋な試みから生まれた曲。
もしかしたら原曲より素敵なのでは???
・・・と関係者内ではささやかれています(笑)。

14.チイサキモノへ
 Pf, Cho:Kengo/Vo:るりかけす
:るり研やると言ったら、これは外せないでしょう。というくらい名曲(自称)。

【with Waits】
1. I Know My Love
 Gt:下田理/Fiddle:山口幸孝/Dr:吉川知宏/バウロン:Kengo/ピアニカ、Vo:るりかけす

:買ってしまいました、ピアニカ(笑)。
今度こそは黒いモデルが欲しくて、思い切りました。
音を出してみると、アコーディオンには程遠いですが、やりようによっては味のある演奏がいくらでも可能ではないか!!と、アイリッシュ参入への新たな可能性を見いだしてホクホクなるりかけすでした。
楽しいこと、楽しいこと(笑)。

2.Craig’s Pipe ~ St. Anne’s
Gt:下田理/Fiddele:山口幸孝/Dr:吉川知宏/バウロン:Kengo/Pf:るりかけす
:最高に楽しかったです。
みんなの演奏だけでなく、皆さんの力強い手拍子も最高でした。
あの会場とステージの一体感が素敵です。
アイリッシュの皆さん、今度からピアノとかピアニカにもちょっと席を譲ってやって下さい。
どこへでも喜んで弾きに参ります(笑)。

とまぁ、やっぱり長いライブレポート。
ライブの写真は近日中に公開予定。乞うご期待!!

浅草寺前で修学旅行生のノリです、るり研一味とwaits
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by sorapis | 2010-03-21 03:03 | Report:ライブレポ

会場下見。浅草へ


今日は初めての会場となる浅草ZINCさんを見に行って来ました。

といっても、お店が開くのは午後4時。
それまで人生2度目の浅草見学。

週末とはいえ、この混雑ぶりには驚きました。

浅草、大人気なのですね。。
あまりの面白さに、食べるのも忘れて浅草中を歩き回ってしまいました。

刷毛屋さんにツゲ櫛屋さん、古いおもちゃのリサイクル屋さんに桐たんす屋さん。
お団子、おむすびを買ってほおばり、浅草寺の参道にあるお煎餅屋さんで焼き立てのおせんべいにお醤油を塗ってもらってがぶり。
その後は甘酒のソフトクリームをぺろり。
あ〜、幸せ。。

と食い倒れ状態になっていると、あっという間に4時。

慌てて向かった浅草ZINCさん。
浅草寺のはすむかい8階という絶好のロケーションで、
賑わう浅草寺の参道が一望できます。
うわさの?(私は未体験)「浅草電気ブラン」もZINCさんで飲めるそうですよ。

とっても楽しみになってきました。
真っ昼間で、顔も丸見えのライブですが、地味に隠れつつ頑張ります(笑)。

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by sorapis | 2010-03-13 23:46 | Murmur:つぶやき

春の便り


三寒四温とは言いますが、初夏のように暑かったり、雪が降ったり。
これじゃあ、体調管理も楽じゃありません。

今日は思いがけないプレゼントをいただきました。

仕事をあがる間際、お兄さんがお店に飛び込んで来て、世界が染まってしまうくらいピンク色のチューリップをいただきました。
ちなみにお兄さんは上の階のお花屋さん(笑)。
少し余ってしまったとおすそわけ。

あまりに嬉しいプレゼント。

我が家に春がやってきました。

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by sorapis | 2010-03-12 23:38 | Murmur:つぶやき

地球は歌う


「こんなところに住んでいたら、音楽が生まれない方がおかしい」

と思わずつぶやいてしまったのは、
アイルランドのドニゴールを旅していた時のこと。
アルタン、エンヤ、クラナドなど、
ドニゴール出身の素晴らしいミュージシャンは多い。

低く垂れ込めた厚い雲。
その合間から海面へと降り立つ神々しい何本もの光柱。
ドニゴールではこの世のものとは思えない光景に何度も遭遇した。
こんなに美しいところに生まれ、毎日を過ごしていたら、
曲も次々と生まれように、と思ってしまったのである。

かく言う自分は、シンガーソングライターという肩書きを持っていたりする。
曲ができるのは旅先、あるいは旅先で見たり体験したことが、
日常でふと想起された瞬間に曲や言葉へとつながることが多い。

東京に住んでいると感情がモチーフとなる歌は生まれやすいけれど、
風景に心を揺さぶられて曲ができるということは、正直ほとんどなかった。
東京周辺にいて、曲が生まれるような自然に出会うこと自体が難しいと思っていたのだ。
辻井伸行さんの『川のささやき』を聴くまでは。

辻井伸行さんといえば、昨年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで金賞を受賞した、まさに「時の人」。
数年前に聴いた演奏からどれだけ変化を遂げたのか気にはなっていたものの、
あまりに「時の人」すぎて、何となく聴く機会を逸していた。

そんな折、深夜番組のチャンネルを回していると、
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、第2楽章が耳に飛び込んできた。

優しさと温かさをたたえながら、音の輪郭が際立った力強いピアノ。
美しいソロが際立つ後半から第3楽章の高みへとのぼりつめていく様は、
ラフマニノフを知らない人さえも惹き付けた演奏だったに違いない。
鳴り止まない拍手が会場を満たした。

続くアンコール。
1曲目のショパンを弾き終えると、辻井さんが口を開いた。
「父と神田川を散歩していた時にできた曲です。」

か、神田川!?
瞬間、脳裏に浮かんだのはかぐや姫のフォークソング。
そしてかつては通勤で毎日通り過ぎていた神田川。

半ば呆気に取られているうちに、辻井さんの手が鍵盤をすべり出す。
そうして紡がれてきた音楽から、私は一寸も目を離すことができなかった。
思わず目を細めてしまうくらいにまばゆい光。
それを受けてきらきらと踊る川が目の前に広がった。

音は時に、言葉や写真以上の力で風景をとどめることができるのだと
鳥肌が立った。
神田川も澄み切った穏やかな心で見れば、アルプスの山麓を流れる小川と何一つ変わらないくらいに美しいのだ。

私は東京の風景をどう見ていたのだろう。

そういえば、最近「散歩」をしていないな、と思った。
歩いても、早足で目的地へとひた急いでしまう。
季節のうつろいをていねいに抱きしめていなかったと気づく。

すると、忘れていた景色が溢れ出した。
いつまでも見上げていた、鈴懸の木々から降り注ぐ木漏れ日。
向こうからやって来る誰かの顔さえも薄紅色に染めてしまうほどに咲き誇る桜並木。
そして、それらに何度も助けられてきたことも思い出した。

ぐんぐん春が近づいている。
寒さで縮こまった手足を伸ばして、散歩に出よう。
どこかを目指すのではなく、自然の奏でる音楽を聴きに。

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ドニゴールの海岸線

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外堀沿いの桜

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きらきらのお天気雨(代々木公園)

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ふんばる姿が愛らしい(不忍池)

この原稿は2010年3月6日にBOOK246のコラムに掲載されたものです。
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by sorapis | 2010-03-10 23:29 | Travel:るりかけすの旅

ミヒャエル・エンデの本棚


惚れ込むほどの文学作品や音楽に出逢った時、
その作者やアーティストなど、本人についても知りたいと思うのは当然の成り行きかもしれない。
たとえば、大学の卒業論文などで特定の人物に焦点を当てて研究しようとすれば、その人の生まれや生い立ちなどを調べることは大前提であるし、それらを知ることで、より深く作品を深く理解できるようになるというのもある。

しかし、私には作品自体の存在が特別過ぎて、
作者については知る必要をほとんど感じなかった人物が3人いる。
つまり、作品だけで十分に世界が完結しているとも言えるし、作品以外の説明は要らないほど、作品を通して作者が見えるように思える場合もある。
そして、そういう思い入れのある人には、見えない不思議な力に導かれて、いつかどこかで少しだけ交わることがある。
今回はそのうちの一人の話。

昨年の夏、私はドイツに滞在した。
一言で言えば山に登るためだったのだが、拠点となる町選びに頭を悩ませた。
結局、辿りついたのはオーストリアとの国境に近いバイエルン州南部に位置する
ガルミッシュ・パルテンキルヒェン。
ババリアン・アルプスに登るには最適な町である。

登山を目的としている場合、山行計画を立てるための詳細な地図と天気予報が必要だ。
そのため、町に着くとまずツーリスト・インフォメーションへ向かう。
そこで私の目に飛び込んできたのは、ボサボサ頭にぶかぶかのロングコート、カメを連れた女の子の後ろ姿が描かれたポスターだった。

そう、これだけで好きな人にはお分かりだろう。
ミヒャエル・エンデの名作『モモ』の主人公、モモである。

それにしても、なぜこんなところに?
近づいて見ると、インフォメーションから程近いクアパークでエンデ展をやっていることがわかった。

子どもの頃から大好きでたまらなかったミヒャエル・エンデ。
『モモ』や『はてしない物語』が有名だが、メルヘンの形式を取りながらも、
現代が抱えている様々な問題を鋭く指摘する作風は、
単に「児童文学」や「ドイツ文学」とひとくくりには出来ない重要な位置にある。

そして、まさに彼こそ、その作品群が私には特別過ぎて、
エンデ自身については知ろうとしたことがなかった人物のひとりなのだ。

初日の山行から帰ると、疲れた足も何のその、クアパークへと向かった。
戯曲を中心としたエンデ作品の紹介、エンデの父でシュールレアリスムの画家として名高いエドガー・エンデの作品など、小さいながらもよくまとまった展示を堪能した。
興奮冷めやらぬままミュージアムを後にし、登山で疲れた身体を休めるために町のカフェに腰を落ち着ける。
その見上げた視線のすぐ先には、「Michael Ende Platz(エンデ広場)」とある。
このように町のいたるところにエンデの文字が見られた。

なぜ、とは思ったものの、それらがあまりにも町に溶け込んでいて、
それ以上調べはしなかった。
それよりも、思いがけないところでエンデに出会えた喜びと
エンデの作品を夢中で読んだ日々のことがとても懐かしく思い出されて、
胸がいっぱいだった。

帰国して驚いた。
というより、知らなかった自分に呆れ果てた。
エンデがガルミッシュに生まれ育ったということは、ファンはもちろん、
ドイツ文学を知る人にとっては常識だったのだろう。
しかも、今年のエンデの命日には、彼が没し、埋葬されているミュンヘンに私はいたのだ。

いくら知らなくてもいいとはいえ、エンデファンとしてこんなにもったいない話はない。
わかっていれば、訪れたい地も見ておきたい資料も山ほどあったのに。

しかし、調べて行くうちに、失望は喜びに変わっていった。
知らず知らずのうちに、エンデに縁のある場所を訪れていたのだ。
あそこも、ここも。
驚きと懐かしさが渾然となって私を喜ばせた。

さらに帰国後も偶然は続いた。
ふらりと立ち寄った友人宅近くの公民館にフリーブックコーナーが設置されていたのだが、『マーフィーの法則』や『脳内革命』といった本の中に、長い間探し続けていた『EDGER ENDE & MICHAEL ENDE エンデ父子展』という図録が、
明らかに異彩を放って並んでいるのを発見したのだ。
思わず我が目を疑ったが、友人のおかげで今は我が家の本棚に嬉しそうに(見える)収まっている。

そして、同じ棚に新しく飾られたポストカード。
このカードは12年前に初めてドイツを訪れた際、名前も覚えていないような小さな村で見つけたもの。
もはや何の店だったのかも思い出せないが、そこで私は1枚のポストカードにどうしようもなく惹かれた。

ドーム型の天井まである壁一面の本棚。
その前に立てた脚立に、脇にもにひざの間にも本をはさみ、両手には別々の本を広げて読書に没頭する男性が描かれている。
この美しく、本好きならばクスッと笑ってしまうユーモラスな絵が何者なのか、
店主に聞いても「ドイツ人の画家が描いた古い絵だ」としかわからなかった。

当時はウィキペディアのような便利なものはもちろん、ネット検索でさえ一般的ではなかったから、調べようもなかったのだ。
ただ、とても大切にしていて、時々取り出しては眺めたり、手帳にはさんで持ち歩いたりしていた。

エンデについて調べていくうちに、『M・エンデが読んだ本』という本があることを知った。
ゲーテからマルケス、シュタイナーやトールキンなどエンデに影響を与えた25作品を、彼自身が編んだアンソロジーである。
何とその本の表紙がまさにこのポストカード、「Der Bücherwurm(本の虫)」だったのだ。
なぜエンデが(それとも編集者が?)この絵を表紙に使ったのかは不明だが、エンデと共通項が出来たようでとても嬉しくなってしまった。

それをBOOK246のスタッフに話した数日後、そのスタッフが神保町から電話をかけてきてくれた。
初版本を見つけてくれたのだった。

エンデの本と件のポストカードが並ぶ本棚を前に、毎日のご飯が美味しい今日この頃である。


※この後、岩波書店の坂本純子さんから、表紙の絵は訳者の丘沢静也さんの選によるものだと判明。
坂本さん、お忙しい中をありがとうございました。

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GarmischにそびえるAlpspitze頂上付近。
谷底まで5時間近くかけて岩場を下る。

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『モモ』ドイツ語版

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エンデの本を吊るした館内

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エンデ広場

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『M・エンデが読んだ本』
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by sorapis | 2010-03-09 01:42 | Travel:るりかけすの旅

シンガーソングライターるりかけすの山と本とサブカルな日々の話。
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