るりかけすの空は

眩しすぎる音楽

 バッハ=ブゾーニ版の『シャコンヌ』、いわゆる『無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番』のピアノ版を聴くたびに、眩暈に近い感覚を覚える。
 初めて聴いたのは、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの演奏だった。モノラル録音であることを感じさせないほどの熱演であり、名演である。その後アレクセイ・ワイセンベルクなど様々なピアニストの演奏を聴いてきたが、やはりミケランジェリを超える演奏が私の中では存在しない。
 簡潔でありながら荘厳なヴァイオリンの原曲よりも、どちらかと言えば、ブゾーニ編曲のピアノ版の方が好きだ。ただし、それはバッハの音楽としてではなく、すでにブゾーニの音楽なのかもしれない。ミケランジェリの演奏を何度聴いたか分からないが、これは「神様の音楽だ」と思っていた。眩しすぎて、目をつむっていないと聴いていられない。こぼれ落ちるほどの音たちが、息もつかせずに空中で砕け散る。飛び散った音の破片がキラキラと降って来る。そんなイメージがまぶたに浮かんでは消える。素晴らしいのだが、呑まれてしまうと、息をするのさえ忘れてしまう。
 久しぶりにミケランジェリの名盤を引っ張り出す。眩しさは少しも色あせていなかった。それどころか、まともに受け止めるには歳を取ってきたな、などと思った(苦笑)。でも、一生かかっても弾けるようになりたい曲のリストに名を連ねたことは確かだ。
 
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by sorapis | 2007-01-13 01:07 | Review:カルチャー

シンガーソングライターるりかけすの山と本とサブカルな日々の話。
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